遅まきながら名前の話

いやいや長い間の御無沙汰です。実業の方が某電機メーカーに勤めてまして、我社の商品が実は学校(専門学校)に納品しとるんですな。
ほんでこの時期は忙しゅうて、なかなか更新できませんでした。
 せやけど何ですな、もうぼちぼち投歌も落ち着きましたね。これぐらいの量は閲覧しやすくていいですね。
 えーと、今回は枕に筆名の話をちょっとさせてもらいます。
 昨年から、題詠マラソンで月読亭羽音を名のらせてもうてますけど、よう凝ったハンドルネームですね、いうようなお話をいただきます。
 ほんまはね、これ実はオフでの名前でして、もともとネットでは生奈旻士(いきなぶんし)っていうのを使うてました。
せやけど、出版化されもんやから、活字でハンドルネームちゅうのも仮面をつけとるようで、ややな思て、本名?にしましてん。
ここんとこ、同人誌やなんやに投稿する時は月読亭羽音でしたさかい。

 この名前の使い始めは昭和六十三年ごろやと思います。
仕事に失敗して、住所不定フリーターの時に、塩谷風月さん主宰のミニコミに使こうたんが最初やった気がします。
それまでは源夢人という名前を大学の文芸部時代から使ってたんやけど、井上二人さんがコンビを解消されて、お一方が夢人と名乗らはったんですな。
ほんで、有名な方のパクリや思われるんはいやで変えましてん。
丁度、信濃におるころで、どんな名前にしよかと、思てるときに、まんまるいお月さんが窓を覗きこんできて、思わずウオンと叫んでしもた。
ああ、これや、思うて「月夜見て、うおん!」
ほんで当て字探しになるんですが、月読亭は直ぐに決まりました。
まぁ、このゴロはそうあらへんし、この名前を考えた時に、まず二葉亭四迷を連想したので亭の字を貰い、「つきよみ」となれば大学時代の通学路(桂から太秦)にあった月読神社から恐れ大いことながら頂戴しようと決めました。

「うおん」は迷いました。おん=音はすんなり決めたんですわ。これなら頭にお月さんが照らしてくれて、足元をお日さんが照らしてくれる。
頭寒足温でからだに良さそうやさかいね。で、「う」、これが迷いましてん。
兎・烏・有・雨・卯・宇…う、う、ぅううぅう、う〜〜。
迷とったら不意に鳥の飛び立つ音が、ばさばささ、こんな夜更けに鵺かいな、と振り返ったら、白いお月さんならぬ、白い空。夜明けが近づいたんですな。
そう、これや、思うて『羽音』に決めました。いや、吉兆。
結構、運命的な名前におうた気がして、最近、イラストレーターで羽音たらくさんという方がいらしゃると知ったんですが、クレームが来ん限り、改名せんとこ思てます。
月読亭羽音の名前で小野十三郎師の大阪文学校を卒業してますしね。ちなみに、大阪文学校におったんは、阪神大震災の前後でしたな。
それともう一つ。うちの家系でひとり大先輩の詩人がいてはりました。祖母の従兄弟にあたる方なんですが大阪の詩人の重鎮でした。
近年なくなられたのですが、その方の名前もこの筆名に入っている。ほやから、余計にこの名前に愛着が出てきました。
この祖母の従兄弟、明珍昇おじさんに最後に会ったのは叔父の法事でした。こんな早くにお亡くなりになるなら関西詩人協会の会合に出てればよかった、と後悔しています。
(気後れして、なんか出にくいんですよね)
関西詩人協会に水口洋治さんに手紙で誘われたときに相談したのが明珍昇おじさんで「害にならんよって入っとたらええやろ」といわはってそれで決めたんです。
水口さん本人は忘れたはると思いますけど、18歳の時も一回「PO」に誘われているんですよね。そん時断ったのも引っかかていて、それもあって入会しました。もっとも不肖の会員ですけどね。
なんや話が逸れましたな。
名前の話をもう一つ最後に・・・・・・今回の題詠マラソン参加者で好きなお名前は田丸まひるさん・しんくわさん兄弟、謎彦さん、斉藤斎藤さん(これは盲点)、村上きわみさん、んもさん。
でもって、由来を聞いてみたいのはしんくわさんですね。




さて本題、今日、足が止まった短歌を



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  盗まれて捨てられている自転車が錆びていくのを横目で見る日々 丸井真希

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 毎日のささくれのように目につく盗難車。そうわかっとっても、誰かに告げるわけもなく、
そういうて、全く気づかへん振りも出来ない。
 そないなことって、日常に何かしらありますよね。「日々」と無造作に言葉を切っているのが
 余計に日常の倦怠感が浮かび上がるような気がしますな。

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  雨上がりふれふれ桜みずたまりさかなになってきらきら泳げ ぴいちゃん


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  桜は散り際が美しい。雨上がりはなおさらやね。
  そのしっとりとした光景に、ミスマッチの明るさが魅力ですね。


ほな、また。三月の総括も出来たらしてみたいもんです。